肝がんの症状
肝がんの症状は、初期であれば自覚症状が伴わないことが多いのですが、進行すれば食欲不振や腹部膨満感、吐き気、嘔吐、全身倦怠感等が発生します。
また、皮膚に黄疸が見られることも特徴です。診察や検査をすれば、肝臓の腫れや腹水が溜まっていることも確認できます。
症状がさらに進行すれば腹部にしこりや圧痛が起き、がんの破裂することで腹腔内に出血し、激痛と貧血症状、血圧低下が発生します。 その他に、肝硬変に伴う症状が発現することもあります。
肝がんの原因
肝がんの原因は多くが肝硬変であり、肝硬変は肝炎から引き起こされます。そして、肝炎を引き起こすのはB型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスです。健康な肝臓から直接肝がんは発生することは稀です。/
B型またはC型肝炎ウイルスが肝臓に感染することで、肝臓が慢性的な炎症を繰り返します。そして度重なる炎症により肝臓組織の細胞が壊死と再生を繰り返し、その過程で細胞の遺伝子ががん細胞へと変異すると考えられています。
なお肝炎ウイルスの感染経路は、輸血や性交、不衛生な注射針や、母体から子へ感染する産道感染などがあります。
肝がんの治療法
肝がんの治療法は、外科療法や放射線療法、薬物療法などがあり、病状に応じて組合せます。
外科療法では、がんが発生している組織を切除する肝切除や、臓器提供者から肝臓を移植する肝移植が行われます。がんが単発または少数で、かつ肝臓機能が損なわれていない場合は肝切除が行われます。肝移植は、肝切除で困難な場合に原則65歳以下の方に行われます。
がんの大きさが小さく少数の場合は、体外から針を刺して治療を行う経皮的局所療法が検討されます。他の治療法より比較的副作用が少なく短期間で治療効果が現れます。
この療法のうち、経皮的エタノール注入療法(PEIT)と呼ばれる方法では、無水アルコールをがんの発生箇所に注入することで化学的作用によりがん細胞を死滅させます。
ラジオ波焼灼療法(RFA)と呼ばれる方法では、針に電気を通して先端部分の高熱でがん細胞を死滅させます。ラジオ波焼灼療法は経皮的エタノール注入療法よりも効果的な場合が多く、また治療回数も少ないことから、ラジオ波焼灼療法が主に採用されることが多くなっています。
その他、肝動脈塞栓術(TAE)によりがん細胞へ繋がる血管を塞ぐことで、がんの栄養補給を阻止する治療法や、抗がん剤を肝臓動脈に直接投与する肝動注化学療法(TAI)が採用されることもあります。
またこれらを組み合わせた肝動脈化学塞栓療法(TACE)も検討されることがあります。
上記の他に、病状の進行度に応じて他のがん治療と同様に放射線療法も行われることがあります。